目まぐるしく変わる世界情勢の変化に備えて、貿易にかかわるビジネス上のコンプライアンス順守がより一層高まっています。ここ福井に多い中小企業も例外ではありません。ここでは安全保障輸出管理の重要性を確認し、いかにビジネスルールに取り入れていくか情報共有したいと思います。
●基本編1.安全保障輸出管理法令
日本における安全保障輸出管理法令の建て付けは以下のとおりです。
法律)外国為替及び外国貿易法(外為法)
政令)輸出貿易管理令(輸出令)、外国為替令(外為令)
その下には、省令、告示、通達などがあります。
過去には米ソによる東西冷戦により、ココム(対共産圏輸出統制委員会)が設置されていました。現在は、「通常兵器の過度の蓄積を防止するべく、ワッセナー・アレンジメント(WA)」という国際輸出管理レジームに継承されています。
※安全保障輸出管理は、①国際条約、②国際輸出管理レジーム(NSG、AG、MTCR、WA)と呼ばれる、国際的な合意に基づいて実施されています。
●基本編2.国際輸出管理レジームのポイント
NSG(原子力供給国グループ)⇒核兵器の製造等に使用される可能性がある原材料、製造設備等、関連技術の輸出規制(根拠法令:輸出令別表第1・外為令別表2の項)。
AG(オーストラリア・グループ)⇒化学兵器、生物兵器の原材料及び製造設備等、関連技術の輸出規制(根拠法令:輸出令別表第1・外為令別表3の項・3の2の項)。
MTCR(ミサイル技術管理レジーム)⇒大量破壊兵器の運搬に寄与できるミサイル、その部分品、製造設備、関連技術の輸出規制(根拠法令:輸出令別表第1・外為令別表4の項)。
WA(ワッセナー・アレンジメント)⇒地域の安定を損なう通常兵器の過剰な蓄積を防止する目的に原材料及び製造設備等、関連技術の輸出規制(根拠法令:輸出令別表第1・外為令別表5から15の項)。
参考)安全保障貿易情報センターHP等